朝ドラ「まれ」は連続テレビ小説のテンプレートを守った、ツッコミ応え満点のドラマ

連続テレビ小説「朝ドラ」
NHK朝の連続テレビ小説こと朝ドラ。
2015年度前期の「まれ」を見始めて1ヶ月半ほど経ちました。

「まれ」の話に入る前に、一般的な朝ドラのテンプレート(お約束)をザッとおさらいしてみます。

朝ドラのテンプレート

  • 主人公は若い女性(ヒロイン)
  • 地方で育つ
  • 夢がある
  • 都会へ出て行く
  • クセのある住人だらけの下宿先に住む
  • 夢に向かって右往左往
  • 住人たちの問題を解決(味方も増える)
  • 夢達成(夢破れて別の良い道を得ることも)

夢の終点はまだわかりませんが、「まれ」にも概ね当てはまります。

もちろんあまり当てはまらない作品もいくつもありますが、戦後以降の現代ものの作品はわりとこのテンプレートでなぞれる作品が多いです。

さらに、

  • 弟がいる
  • 親友がいる
  • 家族はにぎやか
  • 家族や住人のたまり場がある

これらの人間環境を押さえておけばさらにスタンダード感が増してきますね。そして親友のほうが(視聴者に)人気が出る傾向にある気がします。

悪しき伝統のテンプレート

ここからは、あまり受け継いで欲しくないテンプレートなのですが、
  • ヒロインは凄まじく「おせっかい」
  • どんな難題もヒロインの魔法で土曜日に解決
  • 身内であっても1週間限りの豪華ゲスト

「まれ」にもバッチリ当てはまります。

とはいえ、ヒロインがお節介で他人の問題にどんどん首を突っ込みたがるのは、朝ドラでは切っても切れない共通事項なのかもしれません。

マッサンのエリーでさえ、わりとお節介傾向だったし、リーガル・ハイの古美門弁護士(堺雅人)の「あーさードーラ-!」罵倒もそういうニュアンスで使われてましたしね。

おせっかい→解決の流れが魔法すぎる

では、まれのお話。
たとえば、劇中で実際にあった展開ですが、
  • 20年間疎遠で険悪な親子の仲を1週間の超スピードで仲直りさせる
  • 解決方法はお菓子1つ食べさせるだけ

「親が昔作ってくれた思い出のお菓子」という究極の切り札が使われるわけですが、見てる人には魔法としか思えない印象だったんじゃないでしょうか。

ここまでの1ヶ月半、そういう展開がわりと多かったと思いますが魔法です。

そうです、全部あの魔女姫人形(CV:戸田恵子)のしわざだと思えばスッキリ!……しませんかね。過去の朝ドラ「どんど晴れ」では、「夏美さんのおかげ」「おもてなしの心」で全て解決という魔法ワードも存在しましたし、残念ながら魔法もテンプレートの1つなんです。
 
それはさておき、お話をうまくまとめるのって本当に難しいんですよね。

まれの場合、お菓子が作品の大きなテーマなので、「お菓子縛り」があるんだとは思いますが、見てる人にいかに納得してもらえる筋を作るかってのは本当に胃が痛くなる仕事だと思います。私も曲がりなりにもマンガを描いてる身なので。

あくまでも想像ですが、脚本を書く最中にも「これはNG」「あの要素は絶対入れて」「その役者は○×△だから…」とかいろんな注文があるんでしょう。そこを乗り越えてこそプロなんでしょうけど、ウラの事情には心から同情します。

ただ「20年疎遠な親子を1週間で解決させて」がオーダーだったとしたら難易度はかなり高いですね。似た状況の「あまちゃん」の春子さんと夏ばっぱが和解するまで2~3ヶ月はかかりました。一概には比べられないとはいえ、あちらの記憶が新しすぎなのは分が悪かったです。

ヘンだなと感じたらむしろチャンス?

でも、こうやって「ん、なんかヘンだぞ?」とツッコミどころを感じたら、「自分ならどうする?」と考えさせてくれるキッカケが生まれる、というお話もあります。

糸井重里さんと任天堂の宮本茂さんとの面白い対談があるので一部引用してみます。

社長の代わりに糸井重里さんが訊く「スーパーマリオ25周年」より

糸井
自分の例でいうとね、
たとえば、しょうもないテレビを見てるときに、
オレはものすごく努力をしてるんです。
つまり、「このドラマ、ダメだなぁ」みたいな
結論を出そうとしてるとき、
もう、ものっすごく、集中してる。

宮本
(笑)

糸井
もう、頭がフル回転してると思いますね。
「ここで救いがあるかな? あ、ダメだ。ここもダメだ。
あ、これはいい、あ、でも拾われてない。
あいつ、わかってない。あ、役者がわかってない。
あ、ダメだ、あ、これはスポンサーを気にしてる・・・」
そんなことをぶつぶつ言いながら見てるとき、
オレはミーティングしてるときよりも真剣だと思いますね。

宮本
ははははは。

あの、ぼくもここ数年、
NHKの朝の連続テレビ小説を観てるんですが・・・。

糸井
いいらしいですね、『ゲゲゲの女房』。

宮本
うん。関東チーム制作の中では久しぶりにたのしめますね。

糸井
あ、やっぱり。

宮本
で、それ以前のものも、ずっと見てたんですけど、
たしかに、毎回、どうダメなのかを説明しながら見てましたね。

糸井
でしょう(笑)!

任天堂の宮本さんも朝ドラを見ている!
しかも、どうダメなのか説明しながら!

さらに続きます。

宮本
どうしてこの芝居をさせるのか、というところを
わかっている演出家がその場にいるかいないかで、
できあがってくるもののリアリティーがぜんぜん違うでしょ?
それは、シナリオの構成とか、そういうことじゃなくって、
撮るときの演出がきちんとできてないと、さめるんですよ。
やっぱり、「なんかおかしいぞ?」っていうのを
いかに排除していくかっていうのがぼくらの仕事なんで、
そういうことは、テレビを見ながらも考えてますね、やっぱり。

糸井
そう、考えるんですよね、つねにね。
「オレだったらどうするか」とかね。
たのまれたわけでもないのに。
だから、それこそがまさに、
岩田さんの言う、「当事者意識」ですよね。

宮本
そう、「当事者意識」を持って見てるんですよ。
舞台とかイベントを見に行っても同じですよ。

糸井
だから、悩みが絶えないですよね。
遊んでる時間にね。
あの時間だよ、オレが仕事してるのは!

人の作品を見てどうすれば良くなるかを常に考えることで、それがクリエイティブな仕事にも活かされてるという、なんともシゲキになる対談。

2010年とちょっと古めの対談なんですけど、これを読んで以来「このドラマ、イマイチだな」で終わらせるのはもったいなく感じて、逆にツマラナイ朝ドラもどんと来い!の精神で楽しめるようになりました。

今後も「まれ」のツッコミ可能性に期待

そんなこんなで「まれ」はわりとツッコミどころ盛りだくさんなドラマです。

面接に行くだけなのに涙!涙!の送迎パーティが開かれたときは、ツッコミ慣れしているはずの私の目もさすがに丸くなりました。

横浜に来てからは登場キャラが絞られて、能登にいるときよりは締まりが出てきた印象。特に小日向さんが良いですね。あの強烈なまでの意固地キャラをどこまで貫き通せるのか。まれの夢攻勢に撃沈してしまうとしたら、その理由が納得できるものなか、それともやはり魔法なのか。

今後も「まれ」から目が離せません。

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コメント

  1. 京太郎 より:

    私、今週の回で 脱落しかけています。
    もう なんか 久々に本当にダメです(^_^;

    ここでなぜ?
    どうしてそうなる?
    それは必要か?

    などなど などなど(笑)

    そりゃ、一応「作り話」でつから
    ものすごくリアルにしなくてもいいんだけど……でもでも。。。

    プロの糸井さんと同等で考えてはいかんが、
    そうか。。。そう思って もうちょっとがんばってみてみようかな。

    • ひらら より:

      ▼京太郎さん
      あまちゃん以降で、この手の作り粗めの朝ドラはひさびさですもんね。
      私も日々「えっ!」「あれっ!」「どこか見逃した!?」の連続だったりしますし(笑)

      でも本当に生理的にダメなようでしたら、
      ムリなさらずテレビをオフにしても良いと思いますよ。
      13時からオンにして高瀬耕造アナでエネルギーチャージしていただければ(笑)

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