いつか手に入れたいと思っていた「金魚鉢」こと阪神電鉄の路面電車71形。
しかし、モデモ製のNゲージは値が張るのでなかなか勇気が……。
そんなある日、Amazonアウトレットに出品されているのを発見。状態は最低ランクの「可」。
「可」といえばマイクロエースのゆうゆうサロン岡山でニガイ経験をしました。
が、このアウトレットの金魚鉢、最近の鉄コレ路面電車+動力ユニットよりも安かったので、鉄コレを買う気分なら多少失敗してもOK!と勢いポチっとな!(懲りてない)
さぁて、今回はどんな「可」に会えるのかな~
可をさがせ!
届きました。モデモ製品を買うのは生まれて初めて!
動力車を普通の封筒に入れて送ってくるのはAmazonなら新品でも日常茶飯事(NゲージのAmazonレビューが低い理由はだいたいコレ)。今回はプチプチでくるまれてる分、まだマシです。
ケース
ケース右側にヒビ。
この程度は「非常に良い」でもよくあること。想定内です。
これだけなら儲けものですが、いやいや絶対何かあるはず…!
71形といえば晩年型のほうが人気みたいですが、実車をリアルタイムで見たことが無い私はデビュー時でもOKでした。
ケース裏面です。
Amazonアウトレットはたいてい発売から3ヶ月くらいまでの新しい商品が出ることが多いので、発売から数年経ったものが出てくるのはけっこう珍しい気がします。
中身を見ていきましょう。
付属品
車両と中敷きを取り払うといろいろ入っていました。
ウレタン右側の付属品が入ってそうな凹みには何もありませんでしたが、ネット検索するとただの空洞でOKっぽいですね。
説明書とステッカー類、さらに最近では珍しくなったアンケートハガキも!(早速出しておきました)
行き先シールと車番インレタ。
付属品はちゃんと全部そろってるようです。
「え、車両は?」
そうです、肝心なのは車両。怪しい箇所をチェックしていきましょう。
ライト点灯は?
ライトはヘッドライトもテールランプも点灯OK!問題なし!
走行性能は?
走行性能も問題なし!
むしろスローも効くし、うるさくないし、問題ないどころか大当たり動力では!
半径103mmのスーパーミニカーブも走れる小回りの良さも最高です。
しかーし!
車体を舐め回すようにチェックしていくと……
改めて車体を確認
!?
接着剤が散ったようなシミが阪神の社章のまわりに…!!
なるほど。「可」の真犯人はアナタでしたか。
さすがに見つけた瞬間は凹みましたが、3000円とちょっとで買えたお買い得品なので良しとします。正価の6000~7000円だったら即返品モノですけどね!
他には目立った瑕疵は無いし、なにより走りが良い!のが非常に気に入ったので、そこだけでも十分キープに値します。モデモ製品はレビュー見てると動力のバラツキがけっこうある印象なので。
では改めて。いつものように外観を見ていきましょう!
外観レビュー
レビューといっても実車を見た世代ではないので写真中心でザックリとカンタンに。
手持ちの路面電車群と比べても側窓の広さは別格で、さすが『金魚鉢』の異名を持つだけはあります。
実車に対する愛着が薄いこともありますが、私はこの金魚鉢けっこう気に入りました。
一方、ネットのレビュー記事もいくつか拝見しましたが、当時を知る方からは酷評されてることが多いですね。
(前面も側面も)窓と窓との間の柱が実車に比べて太い
これが共通する見解のようで、過去の写真と見比べるとたしかにそうだなとうなずけました。
「金魚鉢」というからには可能な限り「窓オバケ」感を再現して欲しいところですもんね。強度的な妥協点だったのかもしれません。
でも、もしも大手メーカーが手掛けるなら……例えば鉄コレだとどこまで再現できるか見てみたい気もします。
フロント
前面から。
「東神戸行」と「ノダ行」。前と後ろで違う行き先を貼ってみました。
昔の写真だと窓下センターに四角い方向板を付けてる姿をよく見かけますが(これが晩年ですね)、デビュー時のほうが方向幕っぽくて(実際はサボみたいな板かな?)それとなく新しい印象を受けてしまいました。
インレタの食いつきはあまり良くなくて(元からか経年のせいかは不明)、車番の転写には苦労させられました。写真(左)をアップしてから 75の「5」の右下が欠けていることに気づく……(肉眼では目立たないからまぁいっか!)
前から見たお気に入りポイントがココ
このヒゲのようなゴツイ排障器がたまらなく良い!
弧を描いていてさらに二段構えになってる独特な造形。デビュー時仕様ならではのレトロな路面電車な雰囲気がここにたっぷり凝縮されている気がします。
サイドビュー
窓が大きい分、車内のモーターが目立ちまくる点も方々で指摘されていました。
私は鉄コレを買う感覚だったので「うむ、TM-TR04が入ってるんだな」くらいの おおらかな気持ちでいられますが、定価8000円超の品として考えるなら頑張って欲しいとは思いますね。
初期型の特徴はなんといっても屋根上のトロリーポール。
ポールの可動範囲を表してみました。
実車はどうか分からないですが、模型ではけっこうグリグリ動くもんですね。
わが家にはポール集電の電車がほとんどいないので回してるだけでも楽しいです。
おわりに
金魚鉢はかつて食玩やBトレ(201形)でも発売されていましたが、いずれも縁がなくて入手できずでした。その後のモデモ製Nゲージは高嶺の花ゆえスルーしていたのは冒頭にも書いた通り。
ようやくやって来た「金魚鉢」、Amazonアウトレットで出会えたのも何かの縁。
一点のシミがあっても、酷評レビューがあっても、意外にも受け入れてしまえただけでなく、意外にも満足してしまえたのは……アウトレットなコスパのなせるワザ?
コスパの良さもたしかにありますが、大本の「金魚鉢」の独特な風貌からか、模型でもその存在に光るものを感じたからなんだと思います。現役時代の実車も見てみたかったなぁ。
コメント
阪神国道線の所謂『金魚鉢』は父の実家のすぐ前を走っていた事と、幼い頃に少しの間に沿線に住んでいた事から見た事も乗った事もあって、非常に思い出深い車両です。
(書くと年が分かってしまいますが、中学生になってすぐの5月頃に全線廃止になりました。)
私の地元電車であった事から、ずっと前にビューゲルの晩年タイプを購入しました。
金魚鉢の愛称の通り窓が非常に大きくて、本当にハイカラな感じがありました。昼間は車内も明るかったと思います。
夜は外から眺めた光景ですが、大きな窓から天井の白熱電球の証明に照らされた車内がよく見えました。
路線が併用軌道で路盤が良くないからなのかは判りませんが電車が左右によく揺れていて、高い天井からぶら下がっている吊り革が電車の揺れに共振して大きく揺れているのが記憶にあります。
国道線・甲子園線の他には、阪急中津駅をかすめる様にして走って天神橋筋六丁目迄続く北大阪線、尼崎市の海岸方面の路線もあったそうですが実際に見た記憶はありません。
武庫川線にも入線した事かがあるそうです。
模型的には、側面窓の下部にあった保護棒が省略されているのが残念ですが、技術面なのか或いはコスト面からなのでしょうか。
食玩のオマケも入手していましたが、その時はNゲージ化があまり見込めないマイナーな車両なので、食玩のレベル(失礼!)でも世の中に出ただけで嬉しかったです。
(HOでは製品化されているのをマッハ模型で見ましたが、値段が非常に高くて手が出なかったです。)
食玩が出てすぐの頃、雑誌『RMモデルズ』の中でウルトラシリーズでメガホンを執った実相寺昭夫監督が、「こういう名車が出てくるなんて、良い時代になったものだ。」としみじみ話されていたという記事がありました。
昭和の名車が模型の世界で時を超えて今の世でも走っている事は素晴らしい事だと思います。